安定した立位姿勢は、重心の位置が骨盤の位置にあり、前からみると重心線が体の中心を通ります。横からみると、重心線は耳孔(耳の穴)、肩、股関節、膝関節後方、足関節前方を通って、足元にきます。
立位姿勢を保持するためには、抗重力筋の機能がとても重要です。抗重力筋とは、「重力に抗う筋肉」で、具体的には背筋(背中の筋肉)、臀筋(お尻の筋肉)、ハムストリングス(ももの後ろの筋肉)、下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)などの筋肉のことです。立位姿勢が崩れ始めると、重心を足元に収めるためにさまざまな代償的な動きがみられます。
背中が曲がってくると、重心が足元より前へ移動するので、それを防ぐために、腕を後ろに組むことや膝を曲げることにより重心を後方に移動させ、バランスをとります。また、膝を曲げることは重心を低くすることになり、立位姿勢の安定にもつながります。しかしこのような現象は、立位姿勢が崩れてきている過程であるという認識を持つことが大切です。
日常生活の中で、ズボンの上げ下げや入浴時の身体洗いなど、さまざまな場面で安定した立位姿勢が必要となります。その際に、しっかり背中と膝を伸ばすことを意識してもらうことが大切です。