生活習慣病を背景にした血栓症→主に動脈で起こる血栓症
生活習慣病のある人は、動脈硬化を起こしやすくなっています。動脈硬化が進行すると、血管壁にコレステロールなどの脂肪物質が溜まって、血管の中が糊状になり、内部が狭くなってしまいます。何らかのきっかけで内皮がはがれ落ち、血管が傷ついたような状態になると、防御のために凝固の作用が働きます。それによって血栓が作られ、血管の内腔が塞がれると、血流が途絶えて末端の組織に酸素や栄養素が送られなくなり、壊死を起こします。
高齢で起こりやすくなる血栓症→心臓に原因がある血栓症
高齢で起こりやすくなる血栓症は、心臓に原因がある心原性脳梗塞が代表的です。60歳以降の10%以上に発生するといわれる心房細動が起きることで、血流が乱れてしまい、血液がスムーズに心室へ送られなくなるので、血栓ができやすくなるのです。
心房で作られた血栓が心室に移って脳に運ばれ、脳の動脈を詰まらせる脳塞栓の状態から脳梗塞となります。心房で作られる血栓は、血管内で作られる血栓よりも大きくなる傾向があり、重症化しやすい特徴があります。
病的な背景や年齢などに関係なく、環境次第で誰にでも起こり得る血栓症→主に静脈で起こる血栓症
静脈は動脈よりも血流が遅く、血圧も低いために血のめぐりが悪く、血液が滞りやすくなっています。同じ姿勢のまま動かなかったり、水分不足で血液がドロドロになったりすることで、下肢の血流が悪化して深部静脈に血栓ができ、それが肺に運ばれ、肺塞栓から肺梗塞を引き起こします。