認知症や知的障がい、精神障がいなどの理由で判断能力の不十分な方々の権利を守るため、家庭裁判所が本人を保護し、支援する者を選ぶことで、本人を法律的に保護・支援するのが成年後見制度(法定後見制度)です。法定後見制度は、「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。
市長申立てとは
市長は、65歳以上の高齢者又は知的障がい者、精神障がい者について、「その福祉を図るために特に必要があると認めるとき」は、家庭裁判所に対して後見開始等の審判の申立てを行うことができます。
【市長申立にかかる根拠法令】
・老人福祉法(第32条)
・知的障害者福祉法(第28条)
・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(第51条11項2号)
【虐待防止に係る根拠法令】
・高齢者虐待防止法(第28条)
・障害者虐待防止法(第44条)
【成年後見制度利用支援事業に係る法令】
・地域支援事業:介護保険法(第115条の45)
・地域生活支援事業:障害者総合支援法(第77条)
根拠法令の中で、「その福祉を図るために特に必要があると認めるとき」が申立ての要件となっているのは、行政による個人の生活への過度の介入を防止するためですが、それはあくまでも迅速適切な保護の必要性との調和が図られることが前提となります。親族がいても適切な保護がなされていない場合や虐待を受けているような場合には、保護の必要性が強く働きますので、市長が申立てをすることは、保護を受ける本人に対する行政の責務と言えます。