高齢者の排尿障害は、生活の質を低下させる問題です。排尿の問題は40歳代から生じてくるといわれているものの、75歳以上になると、排尿障害を抱える人は一気に増えてきます。トイレの問題は「年のせいだ」と、あきらめてしまっていることが多いのが特徴です。
蓄尿障害とは、「ためておくことができなくなる」障害です。これは、膀胱排尿筋の過活動や、膀胱出口の抵抗が弱くなる、尿道閉鎖圧が低下するといったことが原因となり、尿失禁や頻尿が生じます。
排出障害とは、「出すことができなくなる」障害です。これは、膀胱排尿筋の収縮力低下や、膀胱出口の抵抗が大きくなることなどにより、排尿困難に陥るものです。
高齢者では、蓄尿障害と排出障害が同時に生じる場合が多くなります。
尿失禁には以下のような種類があります。
切迫性尿失禁
急激に尿意の切迫感が生じ、がまんできずに漏れてしまうこと。畜尿時に膀胱が勝手に収縮してしまうために起こり、頻尿を伴うことも多い。
腹圧性尿失禁
尿道の抵抗が低下しているため、重いものを持ち上げたり、くしゃみや咳などで腹圧が上昇して尿道閉鎖圧を超えてしまうことで起こります。
混合型尿失禁
切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の混合型の尿失禁のこと。
機能性尿失禁
上記のような下部尿路機能障害がないにもかかわらず、生じる、尿失禁のこと。
溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)
排尿後であっても膀胱内に多量な残尿があり、尿が溢れ出て常に少量漏らしてしまうこと。
高齢者の排尿障害への対策を検討するためには、まず排尿障害のタイプを知ることから始めます。尿失禁1つとってもさまざまなタイプがありますので、まずはかかりつけの担当医師に相談し、自分の排尿障害のパターンを知ってから、対策を取りましょう。