人工透析とは、病気などの影響で腎臓の機能が著しく低下したときに、人工腎臓を使って老廃物や不要な水分を除去することです。血液透析と腹膜透析の2種類があり、それぞれ全く違う特徴を持っています。
人工透析は、老廃物をろ過・除去する腎臓の働きが徐々に低下し、十分に機能しなくなった慢性腎不全の方に行われます。
血液透析と腹膜透析のちがい
人工透析には血液透析と腹膜透析の2種類があります。
血液透析は多量の血液を体外に導き出し、特殊なフィルターを搭載した機械に通すことで血液中の老廃物や不要な水分を除去する方法です。
腹膜透析はお腹の中の臓器を支えている腹膜の中に透析液を注入します。血液中の老廃物や不要な水分は透析液に引き込まれるため、そのまま透析液ごと排出します。
血液透析で起こりやすいトラブル
〇不均衡症候群
血液透析を始めたはかりの人によくみられます。透析によって細胞の中と外の体液の成分バランスが崩れてしまい、頭痛、吐き気、けいれん、こむら返りなどが起こります。通常、しばらくすれば症状は和らぎます。
〇血圧変動
透析中は血圧が乱れやすいため、適宜血圧測定を行います。
〇出血
血液透析では体外に血液を送り出すため、血液が固まりやすくなります。それを防ぐために抗凝固薬を使用するので、血が止まりにくくなます。
〇シャントトラブル
血液透析を続けるために、シャントトラブルを防ぐことは重要です。起こりやすいトラブルはシャントの狭窄、詰まり、感染です。狭窄・詰まりの防止には、血圧測定やかばんなどでシャントを圧迫しないことが大切です。また体重管理、水分管理もきちんと行いましょう。感染防止には皮膚を清潔に保つとともに、シャントのある腕で採血や点滴をしないなどの注意が必要です。
腹膜透析で起こりやすいトラブル
〇感染
透析液を注入するときに細菌などの微生物が付着すると、感染の原因となります。透析の実施方法は看護師から指導を受けますので、その方法をしっかりと守って感染を防止しましょう。またカテーテルが入っている皮膚から感染を起こすことも少なくありません。
〇透析液の貯留
透析液の排出がうまくできず、腹膜の中で溜まってしまうことがあります。血圧の変動や息苦しさ、おへそや足の付け根、陰部の違和感・腫脹などの症状があらわれることもあります。