概要
アルツハイマー型認知症とは、脳の神経細胞が通常よりも早く減ってしまうことで認知機能が徐々に低下していく病気です。
アルツハイマー型認知症は認知症の中でもっとも多いタイプで、患者数は人口10万人あたり20人程度といわれていますが、高齢化に伴って今後ますます増えていくことが予想されます。主に40歳代以降の広い年代で発病し、特に65歳以上に多いとされていますが、それよりも若い人にみられることもあります。
アルツハイマー型認知症では脳の神経細胞の減少に伴い、徐々にもの忘れをしたり、時間や場所が分からなくなったりする中核症状が現れます。これに伴い、暴言や暴行、不安、気分が落ち込むなどの行動心理症状などもみられ、やがて寝たきりの状態になります。症状はゆっくりと進行し、患者の約半数が発症から2~8年で寝たきりとなり、発症から死亡に至るまでの平均期間は約8~10年といわれています。
症状
アルツハイマー型認知症では、記憶に深く関わる脳の海馬という部位辺りから萎縮が始まります。そのため、最初にみられる症状は徐々に進行するもの忘れです。
一般的に初期には昔の記憶はあるものの最近のことを覚えることができず、同じことを何度も繰り返し聞く、物を置いた場所を思い出せない、日付が分からない、約束を忘れる、慣れた場所で道に迷うなどの症状が起こります。このようなもの忘れに加え、物とられ妄想、活気・意欲の低下、無気力、口数の減少などが伴うこともあります。
進行すると昔のことも忘れ、自分の居場所が分からなくなったり、親しい人の顔も分からなくなったりします。また、食事や着替え、トイレ、お風呂などの日常生活動作を1人で正しく行うことができない、徘徊する、攻撃的になる、夜間せん妄(夜になると興奮して騒いだりする)などの症状もみられるようになります。最終的には記憶が完全に失われ、言語機能や身体機能も低下し、寝たきりになります。