概要
レビー小体型認知症とは、認知症の原因疾患として変性性認知症の中では、アルツハイマー型認知症に続き、2番目に多い認知症です(認知症の原因として約20%と言われています)。アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症に脳血管性認知症を加えた3つは、三大認知症といわれています。
レビー小体型認知症は、主に65歳以上の高齢者に多くみられますが、30〜50歳代で発症する場合もあります。また、アルツハイマー型認知症は女性に多く、レビー小体型認知症は男性に多い傾向があります。
症状
レビー小体認知症では、以下の4つの症状が中核的特徴です。
・注意や明晰さの著明な変化を伴う認知機能の変動
認知機能の動揺とは、認知機能が時間経過とともによくなったり悪くなったりを繰り返すことをいいます。頭がはっきりしているときと、していないときの差が激しく、調子がいいときには通常通りの会話が成立しますが、頭の機能が鈍くなると集中力や注意力が低下することになります。
・繰り返し現れる構築された具体的な幻視
虫や人などの幻視の症状を見ることも特徴です。知らない人が隣に座っている、床に水が流れているなど、実際にありえてもおかしくはない幻視を訴えることがあります。これに関連して、見間違えなどの錯視を起こすこともあり、被害妄想や思い違いをすることもしばしばです。
・認知機能の低下に先行することもあるレム睡眠行動異常症(RBD)
2017年の臨床診断基準からは、レム睡眠行動異常症(RBD)が中核的特徴のひとつにあげられるようになりました。睡眠中に悪夢を見て大きな声で寝言を言ったり、怒ったり、暴れたりなどの行動をとることがあります。
・特発性のパーキンソニズムの次の症状のうちひとつ以上:動作緩慢、寡動、静止時振戦、筋強剛
パーキンソニズムを認めることがあります。具体的な運動症状としては、必須症状としての運動緩慢に加えて、寡動、筋肉が硬くなる筋強剛、安静時振戦などの症状がありますが、レビー小体型認知症はパーキンソン病と比較して安静時振戦や左右差が少ないといった特徴があります。症状が強くなると、姿勢保持障害が現れ、関節可動域の低下や歩行困難、寝たきりになることもあります。
そのほか、うつの症状が出たり、失神や便秘などの自律神経症状をみたりすることもあります。また、さまざまな睡眠障害は、アルツハイマー型認知症より高頻度に認めると報告されています。また、嚥下機能の低下から誤嚥性肺炎をきたすこともあります。