感謝したり、ほめたりすることで人に重要感を持たせると、相手は「認めてくれた」と満たされモチベーションを高めるため、コミュニケーションにはほめることが大切です。

具体的に、「あなたが必要ですよ」「あなたの頑張りはちゃんと見ていますよ」という気持ちがしっかり伝わるよう相手をほめて、重要感を上げることが大切です。

脳卒中リハビリを行い、「どれだけ早く歩けるようになったか」を調べた際、ほめられたグループは、ほめられなかったグループよりも、改善効果が1.8倍上回ったという研究結果もあります。

この結果については、「報われる」ことに反応する脳の報酬系と呼ばれるシステムが背景にあると考えています。脳の報酬系システムは、何らかの欲求が満たされたときに活性化してドーパミンという物質を放出し、人に「気持ちいい」感覚を与えます。上記のようなリハビリの結果がもたらされたのは、ドーパミンをもっと得られるようにと脳が自らの構造を変えた際、歩くことに必要とされる脳の神経回路が強化されたのではないかと考えられています。

しかも、「ほめる」パワーは、ほめる側にも影響します。

ほめられた人は「あなた」との距離を縮めます。その回数に比例して、「あなた」のまわりには人が集まってきます。人が集まれば、幸せが運ばれることも、ときには厄介ごとが運ばれることもあります。しかし、人からの刺激や影響が、あなたを成長させてくれます。また、ほめて相手の気分が良くなれば、相手の行動も変わります。ほめて贈った幸せは、めぐりめぐって自分のもとへ返ってくるのです。

そのほかにも、ほめるとオキシトシンが脳内に分泌されると言われています。オキシトシンの効果は、

・人への親近感、信頼感が増す ・ストレスが消えて幸福感を得られる ・血圧の上昇を抑える ・心臓の機能を良くする ・長寿になる

です。人をほめるだけで、ほめた人自身の気持ちを安定させ、人に対する気持ちさえも変えてくれるということです。