高齢者虐待は、様々な要因が重なり合って、発生します。表面上の行為のみにとらわれず、その背景にある様々な要因を探り、状況を正確に把握することが大切です。
虐待者の要因
介護者の場合、介護疲れなどが、介護者のストレスを増大し、虐待の要因となることがあります。特に介護が長期化している場合は、周囲の配慮が必要です。また、虐待者が、病気や、精神的な問題を抱えている場合、こうしたことが虐待につながることもあります。
高齢者の要因
高齢者が、認知症による言動の混乱や身体的自立度の低さ等により、自分の要望をうまく伝えられないことが、結果として虐待の要因となることがあります。また、こうした高齢者の症状そのものが、介護者の負担やストレスの一因となることがあります。
人間関係などの要因
親の老化や認知症により、家庭内における精神的・経済的な依存関係等のバランスが崩れることが虐待の要因となる場合もあります。
社会環境などの要因
当事者周辺の社会環境が虐待を招く要因になっていることもあります。近隣とのつき合いなどが少ないと、介護者が問題を抱え込みやすくなったり、軽微な虐待の早期発見が難しい面があったりします。また、他の家族や親戚等の介護への関心が低いことも介護者を孤立させる一因です。なお、介護保険の利用等に際して、必ずしも高齢者本人のニーズに合ったケアマネジメントが行われていないことも、虐待の要因となっている場合があります。